雪祭りの雪ミクは見に行った。

VOCALOID関係の話をずっと書こうと思ったまま放置していたら、VOCALOID熱がわりと冷めてしまったふなみのですが、それでも一応書いてみましょう。
僕の一番好きな作家さんはDixieFlatlineさんで、ジェミニが一番はじめに聴いたDixieさんの曲でした。
基本的に当時の僕はニコニコ動画に上がっているVOCALOID関連の楽曲はネタとしてしか聴いていなくて、全然期待していなかったわけです。一応kzさんは「本物」だと思ってましたけど、kzさんはあくまで例外だと思っていたわけです。
んで、鏡音リン・レン萌えの僕としてはリンレンイチャラブとかレンきゅんモノをなんとなく漁っていたら出会ったのがDixieさんのジェミニで、初見で「ガチだ」とびっくりしました。
それはいつ頃だったでしょうか。
Sweetiex2の前後。たぶん前くらいだと思います。
となると2008年の8月くらいか。
で、Dixieさんの他の他の楽曲を聴いてますますこの人はガチだ、と思いました。
特に僕のお気に入りはジェイコブズ・ラダーで、マジでこの楽曲が伸びないのが不思議でなりません。ニコ厨の耳はおかしい。
ところでDixieさんの楽曲を聴いてて思ったのは、この人は洋楽が好きなんだなということですね。
曲の構成が洋楽的です。
ジェイコブズ・ラダーとかジェミニとかで、「サビはないの」とかいうコメが流れたりしていたんですが、それで気づくのは、日本の大衆的なポップスに馴れきった人々にとっては「Aメロ Bメロ サビ」という構成じゃないとそもそも楽曲として認識出来ないのだ、ということですね。いやまあこんな極論的な物言いをすると怒られるとは思いますが。
ともかく洋楽はひとつのモチーフをいかにうまく展開するか、とかいうパターンがよく見られて、Dixieさんの楽曲もそういう印象を受けました。そしてそれが実際に高度に達成されていました。
後にDixieさんのブログとかを見に行って、CD(ほぼ洋楽)を何千枚と持っていたことや、元プロだったことを知って「ああやっぱりか」と思ったモノです。
実際、Dixieさんのシンセストリングスの使い方とかは異常に上手くて、というか、本当に「音」がいいんですよね。アレンジがとにかくいい。ドラムもクリックハウス的な音を入れたりしてるし、ジェミニの終盤のハーモニーがあまりにも自然だったり。あと個人的に他のPと違うと思うのは、VOCALOID達に不必要にビブラートを入れない、というところですね。コレは本当に素晴らしいと思っているところです。花曇とか歌い上げる系統のモノにはきちんとビブラート入れますけど、それもきちんと適切な入れ方で本当に素晴らしい。あと休符の入れ方もちゃんと考えられてますし。
まあ色々書けば尽きないんですけど、とにかく僕にとってのVOCALOIDの使い手としてDixieさんは特別な人になったわけです。


またVocaloidモノを探す時はDixieさんのFavoritesをよく参考にしまして、そこで出会ったボカロ使いで凄いと思ったのは、古川Pさんですね。
たぶんはじめて聴いた古川さんの曲はピアノ・レッスンだと思うんですけど、古川さんという人を強く認識したのはAliceだったと思います。
古川さんは本当に楽曲のクオリティは高いし、音の感性もいい。


しかし、どうしても僕の中で古川さんよりDixieさんの楽曲の方を評価してしまうのは、Dixieさんの楽曲の方がそれがVOCALOIDである必然性があると感じるという点が大きい。
例えば、古川さんのAliceは古川さん自身がセルフカバーをしていること(それが実にハマッていること)からもわかるように、古川さんの作品は実はVOCALOIDでなければならないといけないという必然性は低い。
Dixieさんの楽曲はデビュー作のジェミニメービウス、ジェイコブズ・ラダー、ジュブナイルと、全作品ではないですが、ボカロ達の特長を生かした作品が多い。
まあ、そういう意味で言えば、決して古川さんの作品にそれがないというわけでもないんですが。例えば、Good morning Emma Sympson なんかはミクの特徴をうまく生かした秀逸な作品だと思いますし。
結局は、単にDixieさんの方を先に知ったということと、Dixieさんの曲の方が個人的に趣味だった、というふうにまとめることもできるわけですが。個人的にはやっぱり単にいい楽曲を作るということだけでなく、それが初音ミク鏡音リン・レン、巡音ルカであることの必然性を持っている楽曲の方が好きだな、と思う次第であります。
なんか古川本舗さんをdisってるようにも受け取られそうな文章ですが、決してそういうことはなく、むしろ僕が個人的に気に入っているボカロPはDixieFlatlineさんと古川Pさんの二人だけです。必然性がどうこう言いましたが、例えば古川さんのenvy. なんかすごく好きですよ。あのサウンドは素晴らしい。


結構長くなったのでここら辺にしますか。
本当は古川さんのブログの2009年12月16日のエントリに書かれてあった

とある記事で、「所謂VOCALOID文化は初音ミクのキャラクター性に下駄を履かせてもらっている」
という意見を見ました。まったくそのとおりだと思います。

という文章なんかについても触れたかったのですが、というか簡単に僕の意見を書けば、僕も古川さんにまったく同意するところです。なんか該当箇所だけ抜き出すと、若干過激発言ですが、文脈を踏まえるならば、また、邦楽文化と洋楽文化の違いや、オタク文化がどのように支持されているかを踏まえてVOCALOID文化を見ればおのずとそういう結論になると思います。また、
NHKブックス別巻 思想地図 vol.4 特集・想像力
収蔵の「物語とアニメーションの未来」でも「下駄を履かせてもらっている問題」が上がっていましたし。その上で(キャラ性の強い)VOCALOIDを使った曲を作ることの意味は考えられるべきことだと思います。


さていいかげんここら辺で。
もちろん今日挙げた二人の他にも素晴らしい作り手はいるし、実際僕のニコ動のマイリスがDixieさんと古川さんだけで占められているわけではないのですが、それはまたいずれ。


リン×レンハァハァ