続・アバター

前回同様ネタバレしてます。
3Dについては前回で終わり。
そんで、今回は実は個人的にはアバターの本質は3Dとかどうでもよい、みたいな話です。
例えば、アバターは物語に深みが欠ける、とかいう批評もあるらしいですけど、というかそれはそれで正しいのだけれど、それもどうでもいい。
アバターがよかったのはあのラストだと思うのですよ。
斎藤環せんせいの某往復書簡を見たらアバターについて触れていて、結構僕と似た感想が書いてあって非常に安心したんですけれど(笑)
アレは普通の映画ならば「でも俺は地球を捨てられないんだ」とかあるいは、あの「障害を持った体こそがあくまで自分の身体なんだ(僕を愛すると言うことはその身体を含め愛することなんだ)」とかなるんですけれど、それが「アバターとしての身体をこそ『自分である』と選ぶ」という「ハリウッド的お約束を破った」ラストなのがあの映画の画期性ですよ。
で、個人的にはあのラストを見て「ああ、攻殻機動隊をキャメロンはやったんだ」と思いました。
さらっと見たwebや世間での批評では「もののけ姫」へのオマージュについてはよく言及されていましたけれど、攻殻については言及を見た記憶がないですね。探せばあるんでしょうけど。
攻殻機動隊」は押井守の劇場版ですね。イノセンスではなく。
攻殻機動隊」のラストはアバターより凄いですけれどね。攻殻機動隊をはじめて見た時のあのラストは、かなりカルチャーショックでしたからね、僕にとっては。攻殻機動隊は「現世」を捨てるだけじゃなく、「主体の単独性」(人格の尊厳)すら放り投げてしまうラディカルさですから、アバターはさすがにそこまでやらなかった。
だけど、メジャーを目指す映画であそこまでやったのは、素晴らしい。


あと、アバターで誉めるべきは映画としての技術。
あの長い映画を最後まで退屈させずよく見せたよ。素晴らしい。
たとえいいテーマを扱った純文学映画だろうがなんだろうが、映画において、その文学性を支えるのは映画としての技術だったりすると思うのです。画づくりもカッティングも何もかも良かったと思います。
いやあ、本当素晴らしい映画でした。