思春期と性とライトノベル

ゴーレム×ガールズ (MF文庫J)

ゴーレム×ガールズ (MF文庫J)

ゴーレム×ガールズを読みました。
この前のぼくの御主人様!?の直後に読んだんですよ。だからなのか分かりませんが力量の差というか才能の違いというかを見せ付けられた気がしましたね。
圧倒的に大凹友数のほうが素晴らしいでしょう。
本田透氏が推薦していたのは伊達じゃない、と思いました。
文章から「業」がにじみ出ているのが分かるんですよ。この人はこの小説を書くべくして書いているんだな、という感じがしましたよ。
非モテの妄想ですよ。思春期に性的に抑圧されていて少しも満足のいかなかった人間(勝手に決めてる)はこうでなくてはイカンですよ。
すみれちゃんができた時なんかの描写は素晴らしかったですね。
ソレに性欲を抱くことは出来ない、ということになっていましたが、少なくとも文章としてはエロい。エロ杉。文章自体がエロい。メタレヴェルエロ。
今読み返してみましたけど、50ページから51ページはやっぱものすごいエロですよ。
主人公の友二の『本当の願望』もいいですね。特に本当の願望の後半部分。ところで『本当の願望』という物言い、ラカン的にはどうなんですかね、斎藤環センセに訊いてみたいデスね。あるいは友二は「倒錯者」なのでしょうか。
最後の方が結構ミステリ的な感じになっているのも評価を上げました。
一番最後の視点が主人公の友二じゃない、というのも個人的には好きデス。それともシリーズ化を意識して(編集者の支持やアドバイスで?)そうなったのかもしれませんが、ある種の異物感を以って最後を締めるのは嫌いじゃないです。
結論:ゴーレム×ガールズはなかなか良し。
作者にも好感を持ちました。これからも書いてって欲しいです。作者の中にある「業」を見失わないように、失わないように。
ていうか、この本既に二巻(ゴーレム×ガールズ〈2〉ふたごクリスタル (MF文庫J))も出ているんですね。近々買いますよ。